世の中の商品というのは、常にその商品の「ポジショニング」を他の類似商品と比べて変化させていくことで生き残ってきた歴史があります。
ポジショニングが変わるからこそ、似たような商品であるにも関わらず、そこに差別化が生まれ圧倒的なヒット商品が生まれたりするのです。
あなたの院のHPやチラシでただ単に「治ります」とうたっているだけで果たして、他の治療院と比べてちゃんと差別化できていると言えるでしょうか?
もしこれからの時代ただ「治る」というだけで差別化が難しくなってきているとしたら・・・
もう一歩踏み込んで差別化を考えなければいけない時期になってきているのかも知れませんよ・・・
商品のポジショニングで付加価値を高める
似たような競合商品と差別化するために、付加価値を高めるポジショニングが出来ればいいのですが・・・
そもそも、ポジショニングを変えるというのは一体どういう意味なのかと悩む先生もいらっしゃると思います。
そこでまずは、過去にポジショニング変更に成功した商品を例に挙げて見ていきましょう。
ポジショニングを意識している商品
例えば石鹸のダヴ(Dove)。モイスチャーミルクがなんたらかんたら・・・みたいなCMで結構有名ですよね?
このダヴという石鹸が初めて世の中に出たのは1955年らしいですが、当時石鹸といえば「汚れを落とす」という機能だけが商品に求められている全てだったようです。(というより、それ以外の発想はまだ当時は無かったという方が近かったのかも知れません。)
どの新製品が出ても、そのポジショニングは「他よりよく(汚れが)落ちる」というものだったみたいですね。
まぁ、そこだけ聞くと「そりゃ石鹸の本質を考えれば、それでいいんじゃないの?」と思わなくもありませんね。
しかし、そういった石鹸市場に現れたのが「保湿できる石鹸ダヴ(Dove)」だったそうです。
他の商品が洗浄性能で競い合っている時に、洗浄性能ではなく保湿性能に目を付けてそこに特化していった商品を作り、またマーケティングにおいても洗浄性能よりも保湿性能の高さを売りに市場でポジショニングを作っていったと言われています。(もちろん、大前提としての洗浄能力も十分に確保してだとは思いますよ?笑)
その結果ダヴ(Dove)は当時の女性達から爆発的な支持を獲得し、2021年それこそ令和に至る現在まで「石鹸Dove」として商品が残っているわけです。
あるいは、少し前にかなり流れていたハズキルーペの眼鏡なんかもそういったポジショニング戦略がうかがえますね。
CM見たことありますかね?あの椅子に置いた眼鏡の上に女性が座っていくCM。
CMの演出自体には賛否両論があるようですが、その話は本質ではないのでここでは触れませんが。笑
要はあれは「壊れない・頑丈」な眼鏡ってのをうたっているわけですよね!(僕は眼鏡を使ったことがないので、その強みがピンと来ないんですけど、眼鏡を普段から使っている方からするとやっぱり結構壊してしまうor壊してしまいそうなモノなんでしょうかね。)
他の商品が見やすさで競い合っている市場で、壊れにくさを全面に押し出して「壊れない眼鏡」というポジショニングを行おうとしていったわけです。(もちろん「良く見える」と言うこと自体もうたっていますし、そこは大前提ですよ?)
これらのポジショニングに共通して言えることは、すでに「その商品の価値として当たり前となった部分」(石鹸であればよく落ちる、眼鏡であればよく見える)をさらに押し出すのではなく、その部分は前提として「それ以外の付加価値」を前面に押し出すことによってより違ったポジショニングをはかっているというわけです。
治療院業界でのあなたの院のポジショニングは?
上記の例から考えた時に、治療院ではどのようなことが言えるでしょうか?
「しっかりと治る」治療院がポジショニングになりにくいのが少しは伝わるのではないかと思います。
何故ならどの院も「どれくらい治る」という部分を前面に押し出そうとしているからです。
ただ強いて擁護するのであれば、石鹸や眼鏡なんかよりは治療院業界では「治る」ということを、まだ押し出していかなければいけないのは事実です。
何故かと言うと、一般常識として石鹸は汚れが取れるのが「当たり前」、眼鏡をかければ良く見えるのが「当たり前」、といったように世間的にはメインの特徴の部分を最初からほぼ「疑っていない」からなんですね。
その前提があるからこそ、「保湿」だとか「壊れにくい」という付加価値がより意味を持つわけです。(そもそも汚れは落ちないのに保湿なんて言われたって、誰もその石鹸に見向きもしないですからね・・・前提として汚れが落ちるのは大事です。汗)
では、治療院(とくに整骨院や整体)業界においてその前提はどうでしょうか?
残念ながら、僕個人の感覚としては世間一般では、治療院には「行けば治る」というほど絶対の信頼を獲得できていないように見えています。
この治療院は良さそうだけど、ほんとにここで治るかな・・・?と、まだ少し患者さん方は治療院に対して不安を抱えている方も多いと考えています。
つまり、石鹸や眼鏡と違って大前提の「治る」という部分への信頼感がまだまだ甘いんですね。汗
だからこそ、治療院が現時点でポジショニングを行うのであれば100%全部付加価値のほうで押し出していくのではなく、70%くらいは「治る」ということを押し出しつつ、30%くらいを別の「付加価値」で押し出していくようなマーケティングのほうが成功しやすいと考えています。(100%全部を「治る」という点だけで差別化しようとするのは、最初に述べたとおりどうしても埋もれてしまいやすく、それはそれで差別化しにくいのです。)
そういう意味では、ハズキルーペのCM的な見せ方のほうがポジションを検討していく上で参考になりやすいと言えますね^^
まとめ.ポジショニングで差別化を行う
今回お話した内容は、ポジショニングを上手に行うことによって自然と差別化ができるようになるよって話でした。
僕らはついつい「治す」ということだけに価値を置きがちですが、それは石鹸で言えば「汚れが落ちる」、眼鏡でいえば「良く見える」程度のことでしかなく、市場はすでにそういった「大前提の価値」だけでは満足できなくなってきているんですね。汗
だからこそ、そのほかの強みをしっかりと見つけ、その部分を押し出すことによって差別化をしていかなければなりません。
70%くらいの「治す」という価値に加え、30%くらいの別の「付加価値」自体は、あなたの院自身で見つけれいかなければなりませんが、ぜひこういった部分を見つけ出して(あるいは作り上げて)あなたの院のポジショニングを獲得してみてくださいね^^
この記事を通して、できる限りたくさんの整骨院業界に関わる人に、整骨院の経営のノウハウを届けていきたいと思っています。もし、記事が面白いと思ったのであれば、
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