多くの治療院が抱えている悩みで、もっとも悩みが深いものの一つに、「患者さんの通院期間がなかなか伸びない」ということが挙げられます。
多くの患者さんから選ばれて、何度も通ってもらえるようにならなければ売上が伸びないビジネスモデルな以上、ここに頭を悩ませるのも当然と言えるでしょう。
この点をどうにかするために、サブスクの導入を試みてみたり、仕組みの改善を色々と行ってみたりする院が多いわけですが・・・
それでもいわゆる「継続の回数券やプリカ、リピートの成約が取れない」というような状態ですね。
保険請求のみで単価を激安にしている整骨院はまだマシなのですが、自費施術も組み合わせたり、あるいはほぼ自費に移行した整骨院や、整体なんかは、特にこの状態に陥ってしまう院が後を絶たなかったりします。
そこで今回は、治療院業界(とくに整骨院)において根本的に勘違いしている「ある致命的な欠点」についてお話しようと思います。
ここの認識を変化させることで患者さんの通院期間を伸ばすことも可能になってきますよ!
目次
治療院の「治療」はニーズ商品だということを理解する
この話題は僕のブログでも何度も触れているのですが、この悩みは治療院業界にかなり深く根付いている問題なので、これからも定期的に言い続けると思います。笑
というもの、治療院で働いている先生達は患者さんが長く通ってくれないことの根本的な原因がわかってない場合がほとんどなんですね。
その根本的な原因というのが「治療というのは基本的にはニーズ商品に分類されるものである」ということなのです。
必要な商品は高く長くは売れない、欲しい商品は高くても長く売れる
大前提として知っておいてもらいたいのですが、人は「必要な商品(ニーズ商品)」は出来る限り安く済ませたいと思っているのです。
例えば、
- 車の車検(しょうがないとは言え、高いなーって感じている人も多いですよね。)
- 国民健康保険(義務ですし払ってるけど、払いたくない人が多いという話はよく聞きますね)
- スマホの通信料(高すぎるという意見も多く、今では格安SIMを使う方も随分多くなりましたね)
- ボックスティッシュやトイレットペーパー(こだわりがなければ、安ければ安いほどいいでしょう?)
- ガソリン(価格がリッターで1円上がっても、「また上がったのか」って感じたり)
このように、生活必需品なんかや、国のルールでどうしても支払わなくてはいけない料金に関しては、ほんの少しの値上げでもかなり不満が出てしまいますよね。(消費税率が上がる時も、かなり反発が強かったですし、継続的に続いている様々な商品の値上げも色々と不満が噴出していますね。汗)
とくに車の車検や、スマホの通信料なんかは、いくらを請求されても、「高いなー」って感じますし、ティッシュや石鹸なんかのいわゆる(差別化できていない)コモディティ商品は、できれば少しでも安くしたいと願っているわけです。
しかし、これらの料金はどれも数百円のものから、だいたい数千円以内のことがほとんどです。(車検は十万円超えることもたびたびあるでしょうけど。)
でも、よーーーく考えてみてください。
こういった商品に支払う金額は少しでも安くしたい、高いのは嫌!って言っている同じ人が、一方で
- 毎月美容室のトリートメントで1万円くらい払ってる
- 数万円するジュエリーを自分へのご褒美といって購入する
- 車やバイクを改造するためのパーツは高くても欲しくなる
- 受けたいセミナーに十数万円払って参加する
- ストレス解消といってタバコを毎月数十箱買う
- 子供に良い教育を受けさせるために習い事に通わせる
といったようなことに、かなりの金額を支払っていたりするわけです。しかも、自ら望んで。
この差が「必要な商品」と「欲しい商品」の間にある「絶対的な差」なのです。
人は自分が「欲しい!」と感じている商品には喜んでお金を払います。それがたとえぜいたく品だと分かっていても支払うのです。だって欲しいから。
それに対して、出来れば購入せずに済みたいものは「少しでも安く抑えたい」という欲求が生まれるのです。それがたとえ今の自分に「必要」なものだとしても、です。
治療院の治療って明らかに「必要」にカテゴリされるサービスだよね?
ここで僕らの業界の話に戻りますが、基本的に治療院の治療ってのは「必要」な商品なんですよね。
本当は「病院なんて通いたくない」、「治療院なんて通いたくない」。
でも、痛いしどうしようもないから、「必要」だから通院する、って感じなわけです。
当たり前ですが、このモチベーションのままでは痛みが取れてしまえば通院を辞めるのなんて当たり前です。
だって、本当は「欲しい」商品でも何でもないわけですから。
単価だって安いほうが良いし、通院期間だって短いほうが良いに決まっています。
ここを理解せずに、治療を「必要な商品」としてずっと提供し続けているから、患者さんは長くも通ってくれないし、高い施術単価を支払ってもくれないのです!
治療院のサービスを「欲しい」商品に変換する
じゃあ、治療院は基本的に治療しか提供しないから、患者さんは誰も長く通ってくれないのか??と言われると、決してそんなことはありません!
要は、あなたの治療院に通院することを「欲しい」商品に変化させれば良いのです!
これが、患者さんの通院期間を伸ばし、施術単価を高額にしていく一つの方法と言えるでしょう。
患者さんの中で、もともと治療は「必要」な商品だったとしても、通院の過程で、あなたの治療院に通うことを「欲しい」商品へ変化させることはできるのです。
では、具体的にどういったことをする必要があるかと言うと、
- 治療の提供者としてではなく、先生個人として信頼されるようになる
- 患者さんのパーソナルな部分の情報共有を増やし、友人のような関係になる(ただ友達になるわけではありません、あくまでも先生としての距離感は保ちます)
- ブログや各種SNS、ステップレターなどで情報発信を行い、患者さんの知的欲求を満たす
- 治療という視点ではなく予防やメンテナンスという観点に患者さんの視点を教育によって変えていく
- 毎回患者さんがあなたの治療院に通うのを「楽しい」と思ってもらえるようなトークをする
などです。
見てわかるとおり、治療の技術的な内容は一切出てきません。
治療院を必要な商品から、欲しい商品に変えていくためには、患者さんとの「コミュニケーション」のレベルを上げていく必要があるのです!
- この治療院に通うと楽しい
- この治療院に通うのは自分のためになる
- この先生に診てもらいたい
- この先生に任せておけば(体のことは)安心できる
治療家は治療だけ提供していればいいんだ!という先生が聞くと怒るかも知れませんが、本当に患者さんに長く自身の治療院に通ってもらいたいのであれば、治療技術に加えて、さらに必要になってくるのはこういった部分なのです。
信頼を得て他でもない「あなたから」治療を受けることに価値を感じるようになってもらうのです。
「治療」を受けに行く、ではなく、「〇〇先生から」治療を受けに行くに更新していくのですね。
これでいいのか?とも思うかも知れませんが、こういった部分こそ長期通院をしてもらうためには必要な部分なんですよ!
こうすれば、患者さんは「治療」を受けるためにあなたの院に通うのではなく、「あなたから治療を受けるために」通院してくれるようになりますよ^^
極端なことを言えば、別商品を扱うのも有効
上記のようなサービス面からのアプローチの例外として、単純に「別商品を取り扱う」という手段もアプローチとしては有効です。
実際、今まではもともと治療しかやってなかった院でも、痩身メニューを扱ったり、発毛や脱毛商品を導入したり、サプリメントの物販を導入したり、パーソナルトレーニングを取り扱ったりと、ニーズ商品というよりもウォンツ商品に近い商品を取り扱う店舗も増えてきましたしね。
「治療」という商品をどうしてもニーズ商品から脱却させるのが難しいのであれば、それはそれとして、別にウォンツ商品を扱ってしまえばいいじゃないか!というある意味合理的な考え方だと思います。
僕のクライアントさんでも、まず治療という形で院に通ってもらって、そこからのアップセルでその他さまざまなメニューを受けてもらうことで、患者さんの長期通院を達成している院も沢山ありますし、こういったアプローチもぜひ検討してみてくださいね^^
まとめ.治療を「必要な商品」から「欲しい商品」に変えろ!
人が商品を購入したり、お店に通ったりする理由は様々です。
決して、「商品を購入する」ことだけがお店に通う理由ではなりません。
品質を他でカバーしろ、とか言う話ではありませんよ?
良いモノを提供して、その上で扱っている商品以上にサービス面を向上させれば、通う理由は商品以外に成りえる、って話をしているのです。
そもそも治療院でいうなら、人が商品、と言われる世界です。自分の魅力を上げることは商品の質を上げることと直結するわけですから、とても良いことですよね^^
治療が大事、痛みを取るのが大事。
もちろんそれはそうですが、それ「だけ」をしている限り、あなたの院の治療はいつまで経っても「必要な商品」の枠を超えることはありません。
本当に患者さんと長い付き合いをしていきたいのであれば、ぜひあなたから治療を受けるということ自体が「欲しい商品」になっていけるように、コミュニケーションの質を変えていってみてくださいね^^
この記事を通して、できる限りたくさんの整骨院業界に関わる人に、整骨院の経営のノウハウを届けていきたいと思っています。もし、記事が面白いと思ったのであれば、
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ことをしてもらえると、とても嬉しいです。今後もガンガン情報を公開していくのでお楽しみに