あなたがもし整骨院の経営をしているのであれば、交通事故に遭われた患者さんが来院された時には少しうれしい気持ちになっているかも知れません。
特に保険診療の度合いが高い院であればあるほど、事故患者さんの1回の施術料金というのは他の患者さんと比べてかなり高くなることもめずらしくないので、なおさら事故患者さんには来院してもらいたいことでしょう。(逆に自費診療の単価が高くなってくると、そ事故患者さんが通院したからと言って経営的に大きく助かる、という面は少なくなってきますね。)
確かに整骨院で事故患者さんを見れることは権利ではあります。
ですが・・・実際に現場で働いていると年々事故患者を見ている人数が減少傾向にあることを感じたりすることもあるのではないでしょうか?
今でも例外的に事故患者さんが多い院はもちろんありますが、事故患者さんのランニング数が減っていると感じている先生はきっと多いはずです。
なぜそういった状況になっているかといえば・・・
目次
整骨院で事故患者さんを見るのは限界に近付いている
これはあくまでも僕自身の考えですが、近い将来には事故患者さんを一定数抱えている整骨院の数はさらに激減すると考えています。(2人か3人くらいのランニングならこれからも見れるとは思いますが。)
あなたも薄々「もう事故は厳しいよなー」と感じているのではないでしょうか?
でも、やっぱりうまみを感じるからついつい事故に頼ろうとしてしまう・・・
でもやっぱりもう事故に力を入れるのはやめた方がいいのだろうか・・・
と堂々巡りになってしまうのですね。汗
しかし、僕としてはそろそろ事故に頼るのは終わりにして、しっかりとメインの部分を強くしていくべきだと考えています。何故なら・・・
事故件数自体が年々減っているという事実
ニュースなんかを見ると、いつもひどい事故を取り上げていたりするため意識はしていないかも知れませんが、厳然たる事実として日本国内でおこる交通事故の件数自体が減ってきているのです。
直近の数字だけを並べると
- 平成16年 952,709件(ここが平成以降でのピーク。昭和の頃はもっと多かった)
- 平成25年 629,021件
- 平成26年 573,842件
- 平成27年 536,899件
- 平成28年 499,201件
- 平成29年 472,165件
- 平成30年 430,601件
- 令和元年 381,237件
- 令和2年 309,000件
と、こういった感じで推移しているのです。
どうですか?平成以降でのピークであった16年度をピークに、常に右肩下がりで交通事故の発生件数が減少しているのです。
令和2年までくれば平成16年と比べたら事故件数自体が約3分の1ですよ!?(まぁさすがに令和2年に関しては、新型コロナによる自粛制限や自宅勤務などがあったから一気に事故件数が減っただけだと思うので、そうでなかったらもうちょっとは多かったんじゃないかな?とは思いますが。)
この数字だけ見ても「そりゃ昔と比べれば事故患者さんも減るよね」ということは、ごくごく自然なことだと思います。(もちろん、それで絶対に事故患者さんが来ないとかそういうことを言いたいわけではなく、こういった事実として公表されている数字自体は無視してはいけない、ってことを言いたいわけです。)
何故ここまで急激に事故が減ったのか?
ここまで事故が急激に減った要因には、「法律の強化」と「技術の進歩」が大きく貢献しているのです。(令和2年だけは+新型コロナによる外出制限も影響ありと考えています。)
例えば「法律の強化」でいくと、「飲酒運転の厳罰化」が施行されたのは平成14年と平成19年になります。
以前は飲酒運転自体にそこまで重たい罰則がかけられてはいませんでした。(今では5年以下の懲役か100万以下の罰金ですからね。時代が違いますよ。)
昭和の頃は飲酒運転なんて本当に普通のことでしたが、それが平成14年と平成19年の厳罰化を経て、現在のような「飲酒運転とかほんとありえんだろ!」みたいな風潮を作ることに成功してきているのですね!
またこの頃から自動車自体の安全性にも注目が高まり、平成15年度以降から自動ブレーキシステムの開発が本格的に活発化していたみたいですね。
実際ここ数年は自動ブレーキ搭載の車がどんどん販売され始めているのは、コマーシャルをご覧になっていればご存じだと思います。(むしろ、もはや自動運転すら現実的に視野に入ってる時代ですから驚きですよね。笑)
今はまだ新車や新古車での販売ですから、全世帯に自動ブレーキが搭載された車が行きわたっているとはいいづらいですが、、、あと数年も経てば現在新車で販売されている自動ブレーキ搭載車が中古車としてどんどん市場に出回るようになってくるでしょうし、その頃からさらに普及率が高まり、事故件数もさらに減ってくるでしょうね!
こういった法律強化と技術革新を背景に、事故件数を減らすことに実際大きく成功しているのです^^
このこと自体はもちろん、とても喜ばしいことですし歓迎すべきことだと思います。
整形や病院、損保が整骨院をオススメしてくれない
これは時代の変化とも言えますが、最近では整形や損保会社さんも事故に遭った患者さんが整骨院に通うことに良い顔をしてくれなくなってきていますね。汗
実際「整骨院に行くならウチはもう見ない」という整形の先生も少なくないようです。(自分が現場に出ている時にもそういう患者さんがいましたが、僕のクライアントさんもそういう風に整形で言われた患者さんがいると聞いて、全国的にもそうなってるんだなと思いましたね。笑)
さらに、せっかく整骨院に来てくれたとしても損保会社が以前みたいに3部位を許可してくれなかったり、通院期間をかなり短めに渋られたりと、こういった部分でも事故患者さんを見ていた環境が以前と大きく変わってしまっているのです。
もっと言えば、損保会社さんが整骨院に通うことを許可せず、病院への通院を勧めるケースというのは本当に増えていますね。
これを徹底されると整骨院ではかなり制限を食らう形になってしまうので、この部分が今後もどんどん強化されていってしまうと、いよいよ事故患者さんを見ることが難しくなっていくことでしょう。汗
まとめ.いつまで交通事故に頼る?
今回お伝えしたように、事実として交通事故の発生件数はどんどん減少しているのです。(おそらくあなたの印象以上に減っていたのでは?)
そしてこの傾向は、さらなら技術革新に支えられこれからも続くと考えていいでしょう。
実際の事実として、この15年くらいで事故の発生件数はピーク時の3分の1まで到達してきたのです。
ということは、この先さらに15年経てば全国の事故発生件数がさらに3分の1まで減ってもおかしくないってことです。
そして事故患者さんが減れば減るほど、整形も整骨院に流れる事故患者さんを減らそうとするでしょうから、ここでも整骨院への事故患者さんの流入が厳しくなるでしょう。
もちろん損保会社としても今後も整骨院に対する事故患者さんの取り扱いをどんどん締め付けてくると考えられます。
こうなってくると、いよいよ「事故の患者さんより自費の患者さんをしっかり見たほうが良くないか?」という風に思っても仕方ありませんよね。汗
今はまだギリギリ事故患者さんに対する施策に力を入れるのもアリかも知れません。
が、数年後にはそれすらも費用対が合わない時代がやってくるかも知れません。
本当に時代が変わってしまうまで今のまま続けていくのか、、、
それとも、そうなる前に事前に手を打って交通事故に頼らなくても問題ない経営体質を作り上げておくのか?
ぜひ、今のうちにしっかりと考えられてみてくださいね^^
この記事を通して、できる限りたくさんの整骨院業界に関わる人に、整骨院の経営のノウハウを届けていきたいと思っています。もし、記事が面白いと思ったのであれば、
- 「いいね」ボタンを押す
ことをしてもらえると、とても嬉しいです。今後もガンガン情報を公開していくのでお楽しみに