一般的なマーケティングの理屈から言えば、売上を伸ばすための集客の基本は「あなたの院にピッタリとあった患者さんを集客すること」です。
悩みも深く、回数券やプリカを購入し、長期の通院にも積極的・・・等々。
まぁこういった属性を持つ方ばかりが集客段階で訪れてくれれば、治療院経営も随分と楽になることでしょう。笑
理想的といえば理想的なのは間違いありませんね。
しかし、この言葉自体はたしかに間違っていないのですが、表面上の言葉だけをサラッと聞いて理解した気になって、ちゃんと自分の院にピッタリの患者さん「だけ」を集客しよう!と考えて集客を始めるとだいたい失敗します。汗
この「あなたの院にピッタリとあった患者さんを集客する」というのが、どの程度の塩梅を指すのか、どの程度の絞り込み方だと、適切な人数の患者さんが来院してくれるようになるのか、について経営的な側面を含めてお伝えしていこうと思います。
治療院が理想の顧客を集めるというのは
例えば、あなたの院が「長年ヘルニアや坐骨神経痛などに悩んでいる腰痛患者さんで、毎回窓口で12000円支払ってくれる」患者さんを理想の患者さんとして定めていたとしましょう。
ホームぺージやチラシなどで集客を行う場合、この理想の条件をそのまま記載した場合、果たして初診でどれだけの患者さんが訪れてくれると思いますか?
かける広告費にもよりますが、まぁそれほど初診の人数は伸びない可能性が高いでしょう。
①ヘルニアや坐骨神経痛にお悩みの方 施術1回12000円
(たったこれだけしか記載しないってことはないでしょうけど)これだと、まぁ仮に毎月新患さんが10人くらいになるとしましょう。
では、この条件を少しだけ変更したとします。
例えば「腰痛患者さんで、施術の価値さえ認めれば毎回窓口で12000円支払ってくれる」患者さんをターゲットにし、初回の施術にオファーをつけて初回1980円でホームぺージやチラシに載せたとしましょう。
②ひどい長年の腰痛にお悩みの方 通常12000円 → 初回は1980円
少なくとも、最初の場合よりも初診の人数は伸びると思いませんか?
初回のオファーを入れて、しっかりと集客をかければ、もともとの新患さん人数が少ないところだと、新患さん人数が問合せベースだと3倍くらいになることだってありますよ。
冷やかしも含め、この場合だと新患さんの問い合わせ自体は30人になったとしましょう。
すると、この後の動きは下記の画像のようになるのです。
①の場合だと、ほんとうに理想の顧客「だけ」を集客しているので、リピート率も10割だとしましょう。
10人集客して10人残るのですから、やっている先生からしたら気持ちいいでしょうね。笑
逆に②の場合だと、「とりあえず初回だけでも~」なんて軽い気持ちの人も2~3割くらい入ってきます。
しかし、ここで勘違いして欲しくないのは、条件を緩くしたからと言って10割全員がいきなり冷やかし客になったりはしないってことなんですね。
ここを勘違いしている先生が非常に多いです。
オファーをつけて来院した患者さんは全員オファー目当てだ、みたいな。
決してそんなことないんですね。
ちゃんと7割~8割くらいの患者さんは「施術の価値さえ認めれば継続して通ってくれる患者さん」が残っているのです。
そして、その方たちに真剣に施術をすれば、まぁ8割くらいの患者さんをリピートさせるのは不可能ではないでしょう。(もちろん、ここのリピート率は先生自身のスキルも影響します。)
すると、最終的に30人の患者さんを集客して、10人くらいは冷やかしか、あるいは本気度が低いかで、いわゆる「余計な患者さんを集客しちゃったなー」状態になり、残った20名に本気で施術をして、8割リピートすれば16人が継続して通ってくれる患者さんになります。(仮に7割しか残らなかったとしても14名ですね)
いかがでしょう?ここで考えて欲しいのが最終的に残った人数は理想的な顧客だけを集めた①の場合よりも、そうでない人も許容した②のほうが残っているんですね。
もし5万円のプリカなどを販売していれば、①だと50万円、②だと80万円(7割だと70万円)の売上になっているわけですから、結構な違いですよ。
さらに、このあとにリピートして院に最終的に残ってくれる人数まで考えていけば、最終的な売上にどれだけの差が生まれるのか・・・・・・と考えると、本当に大きな違いですよね。
まとめ.どこで理想の患者さんに絞っていくのか?
今回紹介した例での違いは、理想の患者さんを絞り込むタイミングをどこに持ってきているか?です。
①では集客・広告の段階でガチガチに絞りこみ、②では電話・初診の段階で絞りこみを行っているのですね。(といっても、さすがにHP全体を見れば後者のパターンだとしても、ある程度の方向性は自身の院にあった患者さんに刺さるようなメッセージで構成しているでしょうけどね!)
いずれの場合でも、結果的にあなたの院に残るのは、ちゃんと理想の顧客になっていくわけです。
理想の顧客を集めてないわけではありません。
であれば、経営者として考えなければいけないのは、どちらのほうが最大の収益が残るか?ですよね。
あるいは、治療家としても1人でも多くの患者さんを治せたほうが良いに決まっています。
初診料を下げたくない(感情的に)という先生は多く、何故かと聞くと「理想の患者さんだけを集客したいから」ということを表面上だけでいう先生は多いですが、それは自分の問診・プレゼン段階で患者さんを絞り込む手間を惜しんでいるだけかも知れないのです。汗
もちろん、「売上が下がったとしても、理想の顧客以外の問診に入りたくない、プレゼンの段階で患者さんを絞り込むのは大変」だから、集客段階で絞り込み過ぎることをやっているのであれば、それはその先生の選択なので構わないでしょう^^
実際、毎日予約がいっぱいでキャパ的な問題を抱えている院は、この選択肢を取るのが有効な場合もあります。
そういった意味ではキャパ的な問題を抱えやすい1人院は集客の段階から理想の患者さんに絞っていくこともハマりやすいですが、スタッフを4~5人雇って毎月の新患さんも50~60人は欲しい!という院であれば、さすがに集客段階からガツガツ理想の患者さんにだけ絞った集客を行っていくのは、あるいは目標の新患さん人数を集められないという結果に繋がる危険性も高いわけです。(だからこそ、このあたりは経営者が理解してどこまで絞り込みを行うか判断していかなければならないわけですね。)
今回の話は別に初診料を下げろ、ということを浅く言いたいわけではなく、「何を持って理想の顧客を集めると言っているのか?それは自分の院にとってどこの段階で行うべきことなのか?」ということを考えてもらいたかったのです。
うっかりと、早すぎる段階から理想の顧客「だけ」に焦点を絞りすぎると、逆に売上は下がることもあるので、「理想の顧客を集める」という言葉を浅くとらえずに、しっかりと理解を深めて活用してくださいね^^
この記事を通して、できる限りたくさんの整骨院業界に関わる人に、整骨院の経営のノウハウを届けていきたいと思っています。もし、記事が面白いと思ったのであれば、
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