整骨院や整体院などの治療院経営者さんは、基本的にすごく真面目な人が多いと思っています。
土日は頻繁にセミナーに参加して、ご自身の能力を伸ばすために使ったり、診療が終わったあとから夜のzoomセミナーに参加してみたり、夜は普段から遅くまで院に残って練習したり、スタッフコミュニケーションを強化するためにレクレーションをやったりと、本当に素晴らしいことだと思います。
仮に体力的にきつかったとしても、こういったアクションが実を結んで、満足のいく成果が出ている先生はまだ良いのですが・・・・・・
残念ながら目に見える成果にはなかなか繋がっていないという先生も多かったりしますし、そうなると精神的にもかなりきつくなってきますよね。汗
これはつまり先生の取った「アクション」が、その時点での院の問題やボトルネックに対してクリティカルに作用できてないってことなんですね。
アクションをどんどん起こすことは大事ですが、具体的に大事なポイントを抑えて行動しないと結局同じところをグルグル回ってしまい、前に進めなくなってしまうかも知れませんよ?
治療院経営の改善は数字で行え!
改善に重要なのはPDCA(plan-do-cheak-act)サイクルをしっかりと回すことです。
PDCAサイクル自体の説明は、調べればすぐに出てくるのでここでは省略させてもらいますが、簡単に言うと「ちゃんと仮説を立てて計画し、実行した結果をしっかりと確認し、結果が予想と違えば修正してもう1度行動する」というサイクルの流れのことです。
そして、この最初の「仮説」と、結果が出た後の「確認」の部分ですが、この部分をテキトーにやっている先生が本当に多いです。笑
PDCAサイクルのうち「P」と「C」が極端に薄くて、とにかく「D」で勝負!!みたいなね。汗
「D」も「A」も大事だけど、それだけではダメなわけです。
ここのバランスをちゃんとしないと改善なんて出来る訳がないですからね!
まずは仮説を立てるための根拠を把握する
基本的に、「現場は今こんな『感じ』だから、これをしよう」、「最近既存患者さん離れが多い『気がする』から、なんとかしないと」というような感覚で予定を立ててはダメです。
スタートの状況がそもそも曖昧になってしまっては、行動したあとの結果の確認のしようがありません。
このことを伝えるのに非常に分かりやすい例があったので、原文のまま一部だけ引用させて頂きます。
ある焼肉チェーンにある有名なコンサルタントが入って接客接遇の研修をしました。研修後、明らかに接客のレベルはあがりました。挨拶の声も大きくなり、お客さんとの接し方も丁寧、常連からも「雰囲気変わったね」と言われるくらい。
でも、売上があがったのか?結論から言うと、NOでした。
そこで何でなのか?という会議で…ふと思い立った私は、次のような質問をしました。
「何をもって、接客のレベルがあがったというのですか?」と聞くと、役員、店長、全員が揃って「お客さんが笑顔で喜んで帰ってくれる」「店が明るい雰囲気になる」というような答えでした。
全て定性的で全く計測できません。そこで提案したのは、お客の満足度を数値として計測することでした。
やり方はシンプル。
「あなたが次にこの店に来る可能性は何%ですか?」というアンケートをとるようにしたのです。
これを実際にやってみると、非常に面白いことがわかりました。次に来る可能性を85%以上と答えた人は7割くらいの再来店率でした。逆に85%を切った途端、再来店率がガクっと落ちるのです。
それがわかれば簡単。次に来る可能性を85%以上にするには何をすればいいのか?というアイデアを考えるだけです。
・お客さんに名前を聞きその名前を呼ぶ
・次回の再来店カードを渡す
・2回目以降の人しか食べられないメニューを用意するなどなど店長やスタッフから様々なアイデアが出ました。
そして、ひとつひとつ実行していったところ、最も高い確率で85%を超える施策を発見しました。それがなんと!
「私に会いに次、来てくれますよね?」と言う、だったわけです。
これって施策じゃなくて、単なるコミュニケーションじゃないの?という感じですが数字で出ているものですから否定しようがありません。もちろん他の施策が必要ないというわけではないですが、この一見しょーもない一言を入れることが85%を超えるために最も重要だったわけです。
そして、この一言を入れることを全店で義務付けるようになると、リピート率は2倍以上になりました。
本当の成功要因とは?さて、いかがでしょうか?
ここで重要なことは、どのような施策でリピート率があがったか、ではありません。接客のレベルを「あなたが次にこの店に来る可能性は何%ですか?」というアンケートを使って数値化したことです。
そのおかげで85%を超えるとリピート率が上がることが発見できたわけです。そして、そのためにいくつものアイデアが出てきました。そればかりでなく、そのアイデアの中でどれが効果があるのか?ということを発見することができました。(しかも、普通ならくだらないと切って捨てられそうなアイデアを、です。)
「接客のレベルをあげる」と言ってもどのようにあげるのか明確ではありません。いくら印象で「良くなった」と感じられても、それ以上には改善のしようがありません。
計測できないものでも無理やりでも計測できる数字に直す。それをするからこそ、改善ができる。だから、売上、利益があがるわけです。
あなたが何かに取り組むなら…必ず数値で計測しましょう。
どうでしょうか?
これは本当に真実をついています。
結局、売上や結果として反映させたいのであれば「数字」を常に把握し続けるしかないのです!
「数字」という計測可能なデータが集まるからこそ、そこに「改善」できる余地が生まれるのですね!
せめてこれくらいのデータは毎月集めよう
データを多く取ることは重要なので、毎週こまめに集めても良いくらいです。が、普段の忙しい中で毎週毎週数字をチェックし続けるのは非常にしんどいと思います。
なので、まずは最低でも月に1回、月末にはデータを集めることを習慣化させましょう。
そして最低限でも把握しておくと、治療院経営の改善が行いやすい数字は、
- 総来院数
- 平均来院頻度
- 平均顧客単価
- 自費売上(各メニューごとに)
- 保険請求額
- 交通事故請求額
- 新規売上
- 既存売上
- 新患人数
- 再診人数
- 稼働率
- 2回リピート率
- 6回リピート率
- バックエンド成約率
- 離脱率
- 来院動機(導線・媒体)
- 広告費
- 顧客獲得コスト
などです。
というよりも、これらの数字は最低限抑えておいて、その他のあなた自身が改善したい部分に関しては、その都度数字化して改善を行なっていくという具合です!
もちろん、計測する数字は多いに越したことはないのですが、数字を細かく大量に設定しすぎると、数字計測自体が億劫になってしまって、だんだんと計測しなくなってくる・・・・・・なんていうケースの失敗もあるので、ちゃんと継続可能な量にしておきましょう!
これらの数字がハッキリと目に見える形で手に入るからこそ、各数字を改善する際の「アクションが数字に及ぼした影響」を計測することができますし、再度仮設を立てて検証を行えるようになる(PDCAサイクルが回る)ようになるのです!
まとめ.数字の変移に目を向けずに改善はない!
今回の例のように、数字に目を向けない施策はどれだけやっても売上には繋がらない場合が本当に多いです。
確かにメンドクサイかも知れませんが、本当に経営を改善していきたいのであればしっかりと毎月の数字くらいは把握するようにしましょう。
最初はあまり細かくしすぎなくても良いです。これまで数字を出していなかったのであれば、まずは5つでも7つでも毎月取る数字を決めて、そこからスタートしてください。(最初から細くしすぎると、本当に面倒になりすぎて継続して稼働しなくなります。笑)
あるいは、現在使っているフォーマットがあるのであれば、来年に向けて改良できる部分が無いか??という目線で一度見直してみるのも良いでしょう。
できるところから始めて、習慣にしていけるよう頑張ってみてくださいね^^
この記事を通して、できる限りたくさんの整骨院業界に関わる人に、整骨院の経営のノウハウを届けていきたいと思っています。もし、記事が面白いと思ったのであれば、
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ことをしてもらえると、とても嬉しいです。今後もガンガン情報を公開していくのでお楽しみに!